シンガポールのカジノでギャンブルを停止するリマインダーを導入
シンガポールのカジノでは利用者がギャンブルの制限を設定し、プレイする時間や予算の条件を満たすと連絡を受けるツールを導入しています。さらにtotoなどの宝くじを販売する会社も、利用者が自身で制限できるようなサービスを提供しています。 ギャンブルを制限するツールの内容 シンガポールの「リゾートワールドセントーサ(RWS)は2020年2月にすでに利用客がギャンブルを自身で制限するツール「インフォームドプレイシステム」を導入しています。そしてマリナーズベイサンズ(MBS)は2022年6月に同じシステムを導入しました。 利用客のカジノ制限を伝えるリマインダーツールは、ギャンブルをする時間と予算をあらかじめ制限設定し、その上限に達すればカジノスタッフから連絡を受けるか、あるいは携帯電話で連絡を受け取る仕組みになっています。 一部のジャックポットマシンルームで導入が進んでおり、オプションとして勝敗明細書を受け取ることも可能です。カジノの利用客はオンラインで制限設定の登録を行えます。 カジノ利用制限ツールはカジノ制限措置などを補完 利用客のギャンブル行動を制限するインフォームドプレイシステムは、既存のギャンブル制限措置を補完することが期待されています。 シンガポールにはカジノ入場禁止と制限プログラムがあり、家族やギャンブラー自身が申請すればカジノへの入場を禁止あるいは制限できるようになっています。具体的にはたとえば、カジノへの入場制限を受けると1カ月にカジノに入場できるのは1回から8回までに制限される仕組みです。 問題のあるギャンブラーはゲームに夢中になりすぎて、自身に問題が生じていることを自覚できなくなる恐れがあります。インフォームドプレイシステムを導入することで、ギャンブルをやめる必要があることをリマインダーで受け取れます。その結果、ギャンブル障害に陥ることを防ぐ効果が期待できるとされています。 オンラインカジノでも自己規制ツールは導入されている 欧州では既に一般的であるオンラインカジノ(ネットカジノ)でも自身で規制システムを設定することが可能です。オンラインギャンブルライセンスを取得し保持するためには、Safer Gambling(安全なギャンブルのために)という機能を導入することが義務付けられています。 1日や月単位でプレイできる時間や入金額を設定することができます。 オンラインカジノでは入金不要ボーナスや初回入金ボーナスといったユーザーが利用できる特典が提供されていることが多く、夢中になりすぎることを防止することが目的です。 カジノ制限ツールが役に立たないケース ギャンブルのしすぎでギャンブル障害に陥ることを予防できるインフォームドプレイシステムですが、すでにギャンブル依存症になった人に対しては効果が期待できません。 ギャンブル依存症になり生活に大きな影響を及ぼしている人は、自分の損失に目を向けることをしないため、勝敗明細書の受け取りなどを避けるからです。あくまでもインフォームドプレイシステムは依存症になるリスクがあるのかどうかについて、プレイヤー自身に認識してもらうことを目的としたものとなります。 また現状ではスロットなど電子ゲームの利用者のみを対象としています。テーブルゲームのプレイヤーは対象外となっているので、今後どのように対応するかが課題だと言えるでしょう。 宝くじ販売会社の取り組み RWSやMBSのほかに、シンガポールで唯一totoや宝くじを販売する会社「Singapore Pools」も利用客がギャンブルにおける制限ができるサービスを2021年から提供しています。 これはオンラインサービスで「リスクプロファイリングツール」というものを導入し、アカウントのユーザーが賭け金と獲得した勝利金をチェックできるというサービスです。そしてユーザーが通常よりも多く支出をしているとの分析がなされれば、リマインダーによるメッセージを送信する仕組みとなっています。